ゲバラの求めた新しい人間 |
2011-01-31 Mon 01:31
チェ・ゲバラが創りたかったのは、
いったいどういう社会だったのだろう。 カストロのキューバは、アメリカの経済制裁に抗って50年。 キューバ革命の誇り高い精神は、社会主義国が崩壊する中で はたして持続的な現実の社会形成を可能にするのだろうか。 チェは、ペルーの哲学者マリアテギの影響を受けていると 言われている。 マリアテギは、人間が形而上学的(精神的な)動物であるとし、 人間が心豊かに生きるためには、実用的な物質ではなく、 「神話」が必要だとしたという。 彼は、彼の求める崇高な『新しい人間』を極めるため闘い、 自身もそのように生きて、そして死んだ。 人間が「我欲」ではなく、 「社会」のために働くことに価値を見いだして、 持続可能な経済的生産性をも高めることが はたして本当にできるのだろうか。 私は市民活動という仕事をしている。 4つの市民団体をグループ事業化して、 まとめて経営/運営をする。 私自身は、無償ボランティアとして市民活動を始めて、 活動の継続のために、コミュニティビジネスという手法で 社会的課題を解決するという形へと移行させていった。 そして、市民活動をしていて給料がもらえる現実を、 ありがたいと思ってきたし、今も思う。 現在は、約20名の常勤/非常勤の職員の雇用の責任を担う。 その中には、韓国、ペルー、パラグアイなどにルーツを持つ人、 また緊急雇用事業を活用して、ブラジル、ベトナム、コロンビア など、多様な人を採用している。 その職員たちも、社会的な活動という仕事に関わることに 価値を見いだし、 モチベーションを持って自主的な働き方をする。 それでも、社会保障や雇用条件を少しでもと、改善してきた。 人間は、いくら崇高な志を持っていても、 それだけで継続的に納得/満足して、豊かに暮らせるのかどうか、 そのバランスは、たいへん難しいと思う。 人は教育によって、 個人の物質欲ではなく、社会全体の向上を優先し その結果としての個人の安定を求めるために、 自主的に働くという生き方をつらぬくことができるのだろうか。 チェゲバラは、志なかばで死ぬことで、神話を作り出し、 その神話はキューバで生き続け、 チェの求めた『新しい人間』による社会が、 現実のものとして完成するのかどうか、 自分の団体のこれからのあり方と照らし合わせて、 特に今は、大いに気になるのだった。 |
この記事のコメント |
ゲバラが思い描いた理想、「新しい人間像」を検索していました。大変参考になりました。ありがとうございます。
コメント、ありがとうございます。人間は経済的に行き詰まらないと、実感を持ってゲバラの哲学を考えられないのでしょうね。日本の若者の失業率を見ても、彼の考え方の深さがわかりますね。
> ゲバラが思い描いた理想、「新しい人間像」を検索していました。大変参考になりました。ありがとうございます。 3~4年前に、ゲバラを検索してこの記事を見つけ、今日、また思い出してこの記事を探したら、また見つけることができてとてもうれしかったです。つまり、3~4年前から全く進歩していないと言ってもいいかもしれません。まだ迷い人です。3月8日に東京で国際婦人デー集会をささやかに開催した実行委員の一人でした。少年が少年を殺害するような荒廃した社会を、ゲバラの理想で変えられるでしょうか?
今年、チリの9・11から45年目ということで、『チリの闘い』という映画を見ました。アジェンデ政権がクーデターによって倒された後、チリは、新自由主義の実験場になりました。今でもベネズエラなど中南米の国に対する、米国による干渉・弾圧が続いています。そんなことを考えながら、また、ゲバラの「新しい人間」というこいとを思い出してこの頁に来てみました。
いつも、コメントをありがとうございます。
2018年の夏に、またアメリカとの国交復活後のキューバに行ってきました。いろいろと考えさせられましたが、ゲバラの求めた世界がどのようになるのか、ずっと見ていきたいです。 > 今年、チリの9・11から45年目ということで、『チリの闘い』という映画を見ました。アジェンデ政権がクーデターによって倒された後、チリは、新自由主義の実験場になりました。今でもベネズエラなど中南米の国に対する、米国による干渉・弾圧が続いています。そんなことを考えながら、また、ゲバラの「新しい人間」というこいとを思い出してこの頁に来てみました。 |
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