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とみちゃんのラテンな日々

Hasta mañana,que será será.....

2018年度地球再生大賞受賞

私が設立者で理事長を務める、NPO法人多言語センターFACILが、2018年度の地域再生大賞を受賞しました。
活動から20年目の節目に、このような賞をいただいて、関係者一同、喜びつつ気持ちを引き締めています。

https://www.kobe-np.co.jp/ne…/sougou/201901/0012012908.shtml

東京での授賞式の記事も掲載されました。
https://www.kobe-np.co.jp/…/zenkoku/compact/201902/00120491…
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8年ぶりのキューバ

8年ぶりのキューバは、とても変わっていたけど、町中に音楽があふれて楽しい雰囲気はそのままでした。様子はFBにアップしています。
https://www.facebook.com/shizuyo.yoshitomi
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絵本3巻シリーズ『同級生は外国人〜多文化共生を考えよう〜』

久しぶりの投稿です。
私が監修を務めた、3巻シリーズの絵本
同級生は外国人〜多文化共生を考えよう〜』が、
2018年1,2,3月に続けて出版されました。
対象は、小学校高学年〜中学校あたりでしょうか。
監修はとても難しく、悩んだ部分が多かったです。

絵本写真

私も「とみちゃん先生」として本文に登場しています。
とみちゃん先生

そして、第3巻の最後に、大人向けのあとがきを書きました。
ここにそれを転載いたします。
関心のある多くの方たちにこの情報が伝わり、
大いに活用していただけたら幸いです。

<この本を読んで下さる大人のみなさまへ>

 この絵本の3巻を通して、「違い」の背景を知り、それを日本に合わせることで解決するのではなくどのように調整していくかで、子どもたちのコミュニケーション力を高め、相手を思いやる気持ちを育み、想像力や創造力という大切なことを学ぶ機会になるということを感じていただけたら幸いです。

 まずは違いを知らなければ始まりませんし、それを理解しようとするプロセスで、様々なことに気づかされ、混乱を怖れず違いとどのように折り合いを付けていくのかという知恵を出し合うことで、豊かな社会への可能性をさぐることが大切だと思っています。 またそこから、「多文化」は外国につながる人たちだけではなく、そもそも誰もが一人ずつ違うということにも思い至り、民主的で成熟した社会の実現に近づくのです。そのプロセスそのものが、「多文化共生」なのではないでしょうか? 

 外国につながる子どもたちの存在を、特別扱いをするのではなく活かすことで、さまざまな可能性が見えてくるはずです。それは、子どものまわりにいる大人たち次第だと思っています。私自身も、受け入れる側の社会に住むマジョリティの意識こそを変える必要があると思い、そのために、学校現場の共感を得て、子どもたちから意識を変えていきたいという趣旨に賛同し、この絵本の監修を引き受けました。

 もちろん、この絵本で紹介している事例は、外国につながる人たちの状況のほんの一部です。どこの国にルーツがある人も、ひとりひとり性格も考え方も暮らし方も違い、とても多様であることは当然のことです。絵本の対象年齢を考慮すると、よくある事例として親が医療通訳に子どもを連れて行くことが子どもの負担になっていることなど、書きたくても書けなかったこともたくさんあります。用語も表現もひとそれぞれです。日本語に適切な用語がない場合もあり、あくまで取材をした方達の考え方や、いちばんわかりやすいと判断した言葉を使用しています。この絵本で、すべての外国につながる方の代弁をしようなどとしているわけではありません。くれぐれも子どもたちがひとつの国のイメージを決めてしまうことのないように、大人の方たちにはお願いしておきたいと思います。

 日本も含めて、世界中で難民などやむをえない移動も含み、人の移動が活発になっています。しかし、新しく受け入れた住民への、もともと暮らしていた住民の支援が少しずつすすんだがゆえに、もとの住民が不公平感をもち、いつまで支援をするのだという不満が生じている時代になってきています。ヘイトスピーチやWEB上での差別的発言などが、それを裏付けているように思います。世界で起きているテロ行為なども、ある部分はその延長線上にあり、日本も決して関係がないわけではありません。

 執筆をされた松島さんは、かなり精力的に取材に出かけ、あらゆる声に耳を傾け、関係者全員と時には議論を重ね、一緒に悩み続けました。私も含めこの本に関わった人たちすべてが、それでもこのような本が今の日本社会には必要だということを信じてできあがったものです。

 どうか、大きな可能性につながる環境をチャンスと捉え、この本の言葉じりや細部にとらわれることなく、またある国について固定観念を持つのでもなく、むしろ、違うと感じられたことを題材にして、「多文化共生」という簡単ではないものをめざすためのきっかけをつくっていただきたい。せっかくの機会にフタをしてしまわず、新しい社会を拓く何らかの足がかりにしていただけたらと、心から願っています。
吉富志津代(とみちゃん先生)
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父の永眠

4月5日に父が永眠いたしました。
その後の仏事などで喪主を務めたため、
スケジュールを変更したり、
しばらく連絡がつきにくくなり、
ご迷惑とご心配をおかけし、
すみませんでした。

3年前に歩くことができなくなって入院、
そしてその後は介護施設に1年お世話になりましたが、
その間に頑張って歩行器で歩けるようにまで快復し、
2年前から母と一緒にケア付きの住居で食事などの
お世話になりながら、しんどそうでしたが、
静かに暮らしていました。

そして母が骨折で今年3月初めに入院して、
それをおいかけるように1週間後に父も肺炎で入院し
肺がんだとわかったのですが、
担当医と相談の上、もう緩和治療をしてもらうことに
していました。

3月中はできるだけ姫路の父母の病院に行くようにし、
幸い同じ病院に入院だったので、
特に、母のことばかり気にかける父のために、
何とか同じ病室にしてほしいと何度もお願いして
亡くなる1週間前から二人部屋に一緒にいました。
そして、入院から3週間後に老衰のように苦しまず
痛がらずに静かに少しずつ弱って亡くなりました。

私がスペイン出張から戻るのを待ち、帰国後に
今年4月から私も少しはゆっくりできると伝えたら
安心したかのようでした。
父も数え年の90歳という高齢で、母も入院中ですので、
ごく内輪の家族葬にして、お香典も辞退させていただくと
いうことにしました。

父は、もともと派手なことが嫌いで、
慎ましやかな90年の人生でしたので、
父にふさわしくこじんまりとした葬儀で、
近しい人と静かに送ることができました。
母は一週間前に大腿骨骨折の手術をしたところなのですが、
介護タクシーでヘルパーさんの手を借りて、車いすで、
お通夜とお葬式には何とか参列しました。

2015年6月に父の米寿のお祝いで、
近くの温泉に家族全員で宿泊したときはとても喜び、
これまでの人生で今が幸せと言ってくれましたが、
これは一人娘の私のための言葉だったと思います。

そして、入院中に父が最後にはっきりと私にかけた言葉は、
「気をつけて帰れよ」 でした。
心配性の父らしいいつもの言葉でした。

実家にはもう誰もいませんし、母も長期入院中なので、
神戸の自宅の床の間の仮祭壇に、
父が退職後に書いた色紙と一緒に遺骨も祀っています。

IMG_0127.jpg

IMG_0128b.jpg
父の永眠…の続きを読む
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2014年の提言ふたつ

2014年は、阪神・淡路大震災から20年をむかえるにあたって、活動の集大成ともいえるような提言を、仲間とともにふたつ提出しました。

①長田区役所への提言
 長田の未来を考える有志一同として、「多様性をいかしたまちづくり」について、具体的な提案をしました。

②兵庫県・神戸市教育委員会、兵庫県国際交流協会、兵庫県私学総連合会 、神戸市国際協力交流協会、兵庫県への提言
 外国人児童生徒の言語形成を保障するバイリンガル教育環境推進のための政策提言プロジェクト委員一同として、「二つ以上の言語環境で暮らしている外国につながる子どもたちの教育に関する提言」を提案しました。

提言内容は、以下に記載します。

①長田区長 様
<趣旨文>
      2014年3月    長田の未来を考える有志一同
2013 年 7 月に長田区で開催された公開セミナー、「多様性を活かしたまちづくり・ひとづくり」 の参加者からながたのまちづくりに関心が寄せられ、ながたの未来を考える有志が集まりました。 意見交換がなされ、以下のように提言としてまとめ、今後の中期計画に反映させていただけるよう、 長田区へ提案することになりました。
「ひと」に歴史があるように「まち」にもそれぞれの歴史があり、私たちが生活を営む「ながた」 にも、また特徴的な歴史があります。「ながた」のまちづくりを考える上で、ながたの礎の歴史を ひもとき、それらについて為政者をはじめ市民、区民に共通の認識を持ちつづけることが重要であ り、よりよい未来のために必要なことだと考えます。
「ながた」には世代を超えて住み続ける人々が多く、過去の記憶は人々の語り部の節々にあらわ れます。しかしながら、記憶は忘れ去られ、伝説やうわさにしか反映されません。ながたが培って きた歴史の財産を大切に守っていくためには、まず何がながたの財産なのかを知らなければなりま せん。それらを可視化していく作業が求められます。
ながたは現在も“くつのまち”として全国に名を知られています。その歴史は、かつての被差別 部落や朝鮮半島から渡ってきた人たちと深く関わりがあります。特に戦後は、ゴム工場からケミカ ルシューズ工場に移り、ながたは 1980 年以降来日したインドシナ難民などの日本語を話せない外 国人でも働くことのできる地域となっていきました。1990 年代になると日系南米人やフィリピン 人など多様な国にルーツをもつ人たちが合流し、ながたのまちを地域の住民とともに作り上げてき たのです。そこには、夢と希望や、その裏にある血と汗と涙の軌跡も含めて、さまざまな経験や歴 史が刻まれてきたことはまちがいありません。
ながたに集う者にたいして、そしてこれからこのまちで暮らしていくだろう次世代の人々に向け て、これらの歴史にふれ、お互いが尊重され、ともに歩む共通の認識を育てていくことに、具体的 に取り組んでいかなければならないのではないでしょうか。阪神・淡路大震災という自然災害を乗 り越えてきたこの「ながた」だからこそ、人と人のつながりの大切さを、身をもって知ったのでは ないでしょうか? ながたが持っている財産は何なのか、それらを目に見える形に置き換え、再確 認し、住民やここに集う人々が納得していく作業が進んでいく先にこそ、輝く「ながた」が見えて くるのではないでしょうか。この目的を達成する長、中、短期計画を以下の事業にそって実行して いただきたくお願い申し上げます。
<長田の未来を考える有志一同>
金泰煥 (韓国民団西神戸支部) 金信鏞(コリア教育文化センター)、神田裕(NPO 法人たかとりコミュニティセンター)、 大城ロクサナ(ひょうごラテンコミュニティ) 、森木和美(アジア女性自立プロジェクト)、ズオン ゴック ディエップ(ベトナム夢 KOBE)、須本 エドワード 豊(ミックスルーツジャパン)、 金千秋(NPO 法人エフエムわぃわぃ) 、松原マリナ(NPO 法人関西ブラジル人コミュニティ) 、野路保正(神戸市立真野小学校) 、中村忠司(神戸常盤大学)、森崎清登(長田区 UD 研究会)、正岡健二(NPO 法人鉄人プロジェクト) 、宍田正幸(新長田まちづくり株式会社) 、宮原曉(大阪大学)、吉富志津代(NPO 法人多言語センターFACIL)
松田高明(神戸市) 、大野利彦(公益財団法人神戸国際協力交流センター)、 森安秀和(兵庫県) 、濱上章之(公益財団法人兵庫県国際交流協会)、 樋口正和(兵庫県教育委員会)

<提案内容>
タイトル:まざれば「ながた」フォーレバー ―多文化が息づくまち・ながたの「歴史」から「未来」へ―

●歴史を学び、知れば—
産業+多文化人材の視点で、歴史をひもとき記録して語り継ぐために、今あるものから掘り起こしてながたの財産の発見へ。

→ながたの歴史スポットの洗い出し、歴史的モニュメントや建物の「ながた歴史マップ」を作成
 →ふたば人材センターアーカーブ写真展、カフェスペースの展示場の活用
 →語り継ぐための記録や場の設定と発信
・「長田館」(常に進化する活動を含む)
・「情報館」(カテゴリー別にフィールドワークもできて、長田の歴史を体系的に見る)
・人権に焦点をあてた「歴史展」の開催

●未来をともに語り、創造すれば—
老若男女、異なる文化/習慣を持つ者たちが未来を語り、NPO活動や社会貢献起業ができる場や機会づくり。

 →「多文化教育特区ながた」—誰もが基礎的学力を身につけ、学びたいことを学べる環境を。
  ・AO入試などをめざす進学塾誘致/入試への外国人枠設置
   ・外国ルーツの子どもが日本語と母語の両方を学べる教育環境の促進
  ・大学生の小学校への多文化出前授業/中学生への多文化アンケートの実施など

●「ながた」の中のエスニックを発信すれば—
JR新長田駅南側商店街や長田神社前商店街に設置されたサイネージの再活用および無料Wi-Fiエリアの拡大などインターネットを活用し、ながたに人を集めるアイデアを。

→新しいコミュニティ産業の掘り起こし
・古民家を活用したバックパッカー宿『ながたトラベルロッジ』の設置
・エスニック要素を組み入れてパッケージ化し修学旅行/多文化コースのアピール
・「ながた芸術祭」の開催

②(各関係機関宛)
       
  二つ以上の言語環境で暮らしている外国につながる子どもたちの教育に関する提言

<趣旨文>
 兵庫県には、二つ以上の言語環境で暮らしている外国につながる子どもたちが多く暮らしています。そのため、神戸市を含む兵庫県において、さまざまな取り組みが展開されており、その先駆的な取り組みは、日本国内において評価を得ていることも少なくありません。しかしながら残念なことに、その子どもたちのうち、すでに学力形成が不十分な多くの事例報告がされているという現状も否めません。その原因はさまざまですが、一つには学習・思考の根幹となる第一言語(強い言語)(注①)の形成のプロセスにおける問題が考えられます。これは、子どもたちの学習能力の低さや努力不足によると思われがちですが、言語力の問題が見過ごされているのです。学習言語レベルの日本語習得には少なくとも5〜7年かかると言われています。その間に、子どもたちは十分な日本語力がないまま学習についていけないため、学力の差が広がり将来の選択肢を狭められています。
 そういった言語間の移動をした子どもたちの日本語習得はゼロから出発するのではなく、母語のもとで形成、保持されている概念や言語力の上に、日本語の概念や言語力が置き換えられるとされています。(注②)つまり、母語での言語力や理解力が日本語にも影響すると考えられます。結果として、その子どもの第一言語は、日本語になることも外国語になることもあります。言語形成は、その子どもたちをとりまく言語環境すべてに影響されるのです。 
 それゆえ、日本語での教育環境において、学習・思考レベルの日本語習得のためにも、母語を各自の状況にあわせて育てることはとても大切です。移民を多く受け入れている諸国においても、子どもたちの言語形成・学力形成のための母語教育の重要性は数多く指摘されています。
 また、子どもたちの母語力は日本語習得につれて急速に弱まり、失われていくことが多いため、両親の日本語力が十分でない家庭では、親子のコミュニケーションに支障を来たし、心を通い合わせるための共通のことばがなく、進路や将来のことなどを話し合うことも難しいというケースが多数あります。
祖国を離れて日本の学校文化に適応しようとする子どもたちは、自分と親や祖父母とのつながりを否定的に感じる場合や、自己を肯定的に受け止めにくい事例も報告されています。
 母語を学ぶことは、そのような子どもの自尊感情を高め、情緒を安定させ、アイデンティティの形成を促進させ、保護者とのコミュニケーションを確保し、言語力を活かした将来の仕事の可能性を広げます。そこには、当事者の利益のための母語能力育成だけでなく、外国につながる子どもたちが多様な言語運用能力を持ち、多様な文化を理解できる存在へと成長する可能性が秘められているのです。その子どもたちこそが、社会の国際交流、国際協力、外交、ビジネスの場においても有為なグローバル人材となり、その社会の経済的・文化的資源ともなりうるのです。
 そして、クラスの中に異なる文化・言語をもつ子どもたちがいることを大切に感じるような環境を作っていくことは、すべての子どもたちに国際理解教育、言語意識教育の機会を与えるなど、教育資源を教室にもたらすことができます。
 以上のことから、母語学習を視野に入れた言語形成を考える体制づくりは、その子どもにとっての利益であるのと同時に、日本社会の言語資源の確保のためにも非常に重要であると言えます。日本語以外の母語を持ち二つ以上の言語環境で暮らしている子どもたちが、学校教育を通して学習・思考レベルの言語力を形成するために、一人一人の言語習得状況を踏まえ、年齢発達段階に応じて、日本語と母語の双方を視野にいれた教育指導方針を確立する必要があることは明らかです。
 そのために、子どもたちを取り巻く学校教員、教育カリキュラムなどに関わる教育関係者、子どもたちとその保護者たち、コミュニティの大人たち、市民活動に関わるメンバーたちなど、多様な立場の関係者への提案として、これをまとめました。今後の教育環境を考える上で、これを十分に参考にしていただき、具体的な体制づくりを、ともに進めていただきますようお願いいたします。

2014年10月27日
外国人児童生徒の言語形成を保障するバイリンガル教育環境推進のための
政策提言プロジェクト委員一同 
代表 吉富志津代

<具体的な提案>

1. 第一言語(強い言語)を一つ以上確立させるために、日本語指導の拡充と同時に、母語指導の位置づけをしっかりと考慮してください。
 →「子ども多文化共生サポーター」制度の拡充による母語指導者を配備
 →学校教員への母語学習の必要性理解、教室でできる具体的な支援方法、保護者/市民団体との
    ネットワーキングの方法、関連の情報提供などに関する研修実施
   →日本語指導と同時に母語をも育成するための指導を含めたカリキュラムを開発
    たとえば、母語教育支援センター校制度の復活、県立芦屋国際中等学校のカリュキュラムの応用や
    教師の活用など
   →母語教室実践者間のネットワーク形成と定期的な研修の実施
   →母語教室実践者と教員、教育行政関係者との協働体制の促進

2.国籍に関わらず、外国につながる子どもの言語形成の個別状況を把握するしくみを作ってください。
   →教員も保護者も、言語形成状況を正確に把握することが困難な現状を改善するため。
   →現在、外国につながる子どもの日本語支援の必要性の有無は子どもの滞日年数によって定められているが、文科省が開発しているDLA(注③)などを活用し、すべての子どもの日本語能力および母語能力を正しく評価し、それぞれの子どもに応じた言語支援メニューを提供できるしくみの確立が必要。
  →言語の問題が、発達障害と混同されないために。

3. 日本語を母語としない児童生徒の保護者との連携の促進をしてください。
   →保護者が自信を持って積極的に家庭での母語学習を学校との連携でできるように、情報提供や教材の紹介(注②)をすることが必要。
  →すでに作成されている、学校教員、保護者、母語指導者の理解をすすめるために、パンフレット、DVD(多言語)を活用

注①:抽象的思考ができ、文章作成能力を伴う学習思考言語
  
注②:バイリンガル教育研究の第一人者のひとりである、J.カミンズは二言語相互依存仮説を唱え、母語と現
   地語の二つの言語には図のように深層面(または共有面)と呼ばれる学習思考のもととなる領域があり、現地語だけでなく母語をも涵養することで、言語能力を豊かにし、表層面に表れる2つの言語の確立を可能にすることを明らかにしている。
            
注③:DLAとは文科省が開発している「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」であり、現在は日本語能力測定のための評価手法であるが簡単な翻訳で母語能力の測定にも応用され、実際に、スペイン語、中国語、韓国語での測定が報告されている。
         http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1345413.htm

注④:参考になるパンフレット、ウェブサイト
    ●ウェブサイト「〜多文化な子どもの学び母語を育む活動から〜」関西母語支援研究会
     http://education-motherlanguage.weebly.com/
    ●ウェブサイト「愛知 外国につながる子どもの母語支援プロジェクト」
        http://www7b.biglobe.ne.jp/~akp/top.html
    ●パンフレット『母語、ルーツにつながる言葉を育てましょう』(作成中)

—参考文献— 

・石井美佳(1999)「多様な言語背景を持つ子どもの母語教育の現状-神奈川県内の母語教室調査報告」
『中国帰国者定着促進センター』第7号, pp.148-187.
・乾美紀(2008)「高校進学と入試」志水宏吉編著『高校を生きるニューカマー』明石書店. 
・岡崎敏雄(2005)「年少者日本語教育と母語保持-日本語・母語相互育成学習における学習デザイン-」
『言語教育の新展開』ひつじ書房.
・カミンズ,J. (中島和子訳著) (2011)『言語マイノリティを支える教育』慶応義塾大学出版会.
・カミンズ,J.&ダネシ,M.(中島和子、高垣俊之訳)(2005)『カナダの継承語教育』明石書店.
・櫻井千穂(2008)「外国人児童の学びを促す在籍学級の在り方―母語力と日本語力の伸長を目指して」
『母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究』第4号, pp.1-26.
・高橋朋子(2009)『中国帰国者三世四世の学校エスノグラフィー―母語教育から継承語教育へ』生活書院
・中島和子(2010)『マルチリンガル教育への招待―言語資源としての外国人・日本人年少者』ひつじ書房
・吉富志津代(2001)「在日日系南米人の母語教育−草の根の活動現場から公的支援を考える」 KOBE外国人支援ネットワーク編著『日系南米人の子どもへの母語教育--日系南米人の子どもの実態から−』 (在日マイノリティスタディーズⅠ) 神戸定住外国人支援センター.

【連絡先】
       〒653-0052 神戸市長田区海運町3-3-8
        たかとりコミュニティセンター内
        ワールドキッズコミュニティ気付
      TEL:078-736-3012 FAX:078-737-3187
      Email:kids[アット]tcc117.org





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